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久々に法律豆知識ネタの記事です。

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10年以上前に,「カイジ」の福本伸行氏が原作を,「沈黙の艦隊」のかわぐち
かいじ氏が作画を担当した「生存 LifE」という漫画がありました。

当時,友人の家だか漫画喫茶だかで単行本を読んだのですが,長い間に存在すら
すっかり忘れていたところ,先日本屋で新装版が出ているのを見かけ,思わず買って
しまいました。

あらすじは,以下のとおりです。

建設会社の専務である主人公が医師から悪性の腫瘍で余命が半年と宣告され,
自殺しようとするが,ちょうどそのとき,14年前に行方不明となった娘が
遺体で発見された。
娘に対する殺人罪の時効が半年間残っていたので,自分の余命を殺人犯探しに充てる
決意をして,会社を退職する。
手がかりがほとんどない中,懸命に捜索を続け,その執念が警察も動かし,
少しずつ犯人にたどり着いていく。
しかし,犯人が判明したときには,時効が目前に迫っていた・・・。

さすが「カイジ」の福本氏が書いたシナリオだけあって,二転三転する緊迫感のある
ストーリーの上に,手に汗を握るような心理戦が展開され,ページをめくるのも
もどかしいくらいの面白さです。

・・・これ以上書くとネタバレになりますし,単なる漫画のレビューになって
しまうので,漫画についてはこの程度にしておきます(笑)


さて,この漫画のキーポイントとなっているのは,「時効」制度です。

時効といっても色々な種類がありますが,ここで問題となっているのは,
刑事訴訟法上の「公訴時効」です。

公訴時効というのは,犯罪が終わってから一定期間を経過すると,
公訴が提起できなくなることをいいます。

ところが,この漫画もそうですが,この公訴時効という制度は,多分に勘違いされて
いるようです。

よくテレビドラマ等で
今晩の夜12時に時効を迎えるところ,時効成立2時間前に犯人を逮捕した!!
みたいな展開がありますよね??

実は,あれってあり得ないのです。。

刑事訴訟法254条には,「時効は,当該事件についてした公訴の提起によつて
その進行を停止し・・・」と定められており,公訴の提起,つまり起訴されないと
時効は完成してしまうのです。

そのため,時効成立直前に逮捕されたとしても,時効は停止されずに進行してしまい,そのまま時効が成立してしまうのです。

では,時効から,どれくらい前に逮捕すれば起訴できるのか?ということになりますが,
事件の性質や,逮捕の時点で証拠がどれくらい揃っているのかによっても,
かなり変わってくるでしょうが,最低でも逮捕後10日間位は必要なのではと思います。

それにもかかわらず,現在にいたるまで,上記のようなテレビドラマやこの漫画のような勘違いが
繰り返されてきたのは,「公訴時効」という制度が,いわば天国と地獄とを分ける
分水嶺となっており,その落差にドラマを感じて,創作意欲を掻き立てられる方が
多いからではないかと思います。


・・・・というわけで,今回は,ドラマぶち壊しの記事となってしまいました(笑)

なお,この漫画が描かれた当時は,死刑に当たる罪の時効期間は15年でしたが,
平成16年に25年に伸張され,更に平成22年には,人を死亡させた罪であって,
死刑に当たる罪の場合について,時効が撤廃されました。

その意味でも,この漫画のようなストーリーは,現在では成立しなくなっています。

だからといって,この漫画の価値が下がるわけではなく,細かいことを言わずに
純粋にそのストーリーを楽しむのが正解だと思います!!
(散々書いておいて,この結論か・・・。)



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弁護士のブログなのに,今まで法律のお話が割と少なかったため(汗)
新たなに「法律豆知識」というカテゴリを作りました♪
ふと感じるような素朴な疑問点について,書いていこうかと考えています。

第1回は,友人からの思いつきの質問について。

(質問)
鎌倉の大仏の写真を使うのに,著作権の問題は生じないのでしょうか??


大仏等の仏像も,著作権の対象となる美術品にあたります。
しかし,著作権は,著作者の死後50年以上経過すると保護期間が終わりますので,
著作権の対象とはなりません。

そして,鎌倉の大仏はできてから800年ほどが経過しているので,当然ながら
著作権の対象とはなりません。
ですから,結論として,鎌倉の大仏の写真を自分で撮影してその写真を使用しても,
著作権法上の問題は生じないことになります。


ところが,ここで1つの疑問が生じます。

とうの昔に作成者が亡くなっている絵画や仏像の写真を撮影したり,
写真集を出したりするときに,その絵画や仏像を所蔵する美術館や
博物館,寺院等に使用料や手数料を支払ったりすることがよく行われています。

著作権が切れているのに,どうしてなのでしょうか。

これは,その美術品の所有者から

「お金払わないと,見せてやんないよ。撮影させてやんないよ。」

と言われてしまうことから支払われているもので,あくまでも所有権行使の一態様に
過ぎず,著作権とは何ら関係ないものです。

では,撮影がフリーの美術品を撮影した写真で写真集を出した場合に,
その美術品の所有者から使用料を支払うよう求められた場合どうなるのでしょうか。

これについては最高裁判例がありまして,中国の書家の書の写真を使用して写真集を
出した出版社に対して,その書の所有者が出版差止請求等をした事案で,
著作権の保護期間が過ぎていることを理由に,所有者の請求を棄却しました。

ですから,鎌倉の大仏の写真の写真集を出しても,大仏のある高徳院に
金銭を支払う必要はないことになります。


以上については,自分で撮影した写真を使用する場合の話です。
しかし,他人が撮影した大仏の写真については,大仏本体とは別に写真そのものに
その撮影者の著作権が認められることになりますので,注意が必要です。
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