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覚せい剤の密輸事件につき,最高裁が,第1審の裁判員裁判による無罪判決を
覆した控訴審判決を維持し,上告を棄却しました。

最高裁「覚醒剤運んだ人物 密輸組織から委託」

最近,覚せい剤や麻薬を海外から密輸したとして訴追された人が,
中身を知らなかったと主張して,第1審の裁判員裁判で無罪判決を受けるケースが
相次いでいました。

実際,海外でスーツケースを盗まれたり,破損されたりしたところ,
「親切な」第三者が新たなケースを準備してくれて,それを持って帰国したら
中に覚せい剤や麻薬等の違法薬物が隠されていたという話や,
海外でステキな異性(まあ,同性でもいいんですが。。)と恋に落ち,
その異性から荷物を頼まれたところ,中に違法薬物が入っていたという話を
よくニュース等で耳にします。

そのため,裁判員の方々は,無罪の推定という刑事司法の大原則に立ち返り,
裁判で中身を知らなかったと主張する被告人について,真偽は分からない
ながらも,無罪判決を下す傾向にあったのではないかと思われます。
私は,そのような傾向について,裁判員裁判を導入した最大の成果だと考えていました。

しかしながら,本件についての控訴審判決や今回の最高裁決定により,
そのような好ましい傾向が潰されてしまったと思います。

最高裁の決定は,「覚醒剤を運んだ人物は、特別な事情がない限り、密輸組織側から委託を
受けていたと認定できる」と判断しています。
つまり,被告人の側で,中身を知らずに荷物を託されたとか,スーツケースの中に知らない間に
違法薬物を入れられたとか,その他裁判官を説得するに足る具体的な事情を主張・立証できないと,
密輸についての故意を認定されてしまうということです。

職業裁判官は,えてしてこのような判断をするものです。
それは,人間の内心である故意や犯意を直接証明するような客観的証拠が存在する
ことは極めてまれであるため,故意や犯意の立証のハードルを上げてしまうと,
「知りませんでした。」と主張された場合,無罪判決を下さざるを得なくなり,
逃げ得を許してしまうことになるからです。

しかし,裏を返せば,実際には,本当に知らないにもかかわらず,
たまたま特別の事情を立証する方法を何も持っていないがために,
有罪判決を下されてしまう人が一定数必ず出てくることになります。

特に,違法薬物の密輸事案の場合,薬物を渡されたり,入れられたりするのが
海外での話なわけで,証拠を集めたり,証人を呼び出したりして防御することが,
被告人にとって事実上不可能です。

今回の最高裁の決定は,無罪の推定という大原則を覆す
推定有罪の判決と言わざるを得ないと思います。

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