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前回から引き続いて,保釈についてです。
今回は,裁量保釈と私が保釈請求の際に注意していることについて
書いていきます。


裁量保釈とは文字どおりでして,除外事由があって,権利保釈が認められない
場合であっても,裁判官が裁量で保釈を認めることをいいます(刑事訴訟法90条)。

裁量保釈を求める上で重要な要素は,保釈の必要性(保釈しなければいけない事情)と
保釈の相当性(保釈を許しても構わない事情)です。
これらの事情をどれだけ説得的かつ豊富に挙げられるかで,保釈の可否は
決まってきます。

保釈の必要性としては,たとえば,自分が働かないと家族が生活していけないとか,
被告人が介護している人がいるため,身体を拘束されると,要介護者の生命身体に危険が
及ぶとか,会社や自営業をしていて,身体拘束されると,事業が続けられなくなるとか,
病気や怪我のため本格的な治療を受けなければならないとかいった事情が挙げられます。
また,保釈の相当性としては,たとえば,事実を認めて争う気がないとか,被害者と示談が
済んでいるとかいった事情が挙げられます。

そして裁判所は,特に必要性の方を非常に重視する傾向が強いようです。
そこで,私は,保釈請求をする際には,被告人本人のみならず,家族や友人・
交際相手等に連絡を取り,何か保釈の必要性に関する事情がないかどうか
粘り強く聞き取るようにしています。

今回のケースでも,保釈請求の前日に,保釈請求書を書き上げてから,
もう一度接見に行って,何か付け加えることがないか確認しに行きました。
すると,新たに本人からある事情を聞き出すことができました
(本人にとっては,ことの性質上言い出しにくいことだったのかもしれません。)。

そこで,保釈請求書を大幅に書き直し,その事情に関する添付資料も色々と付けた上で,
裁判官との面接に臨んだところ,裁判官がその事情を非常に重視してくれて
トントン拍子で保釈が許可される運びになったのです。
おそらく,その事情がなければ,保釈は蹴られていたでしょう。

前回も書きましたとおり,本来は権利保釈により保釈されることが原則
であるにもかかわらず,保釈の必要性を強調して,裁量保釈に全てを賭ける
ことについては,本音を言うと,法律家として納得のいかないところもあるのですが,
現に実務がそうやって運用されている以上,やむを得ないことだと思っています。

なお,保釈には,もう一つ「義務的保釈」(刑事訴訟法91条)と呼ばれる
ものがあり,身体拘束が不当に長期に及んだときに認められることになっていますが,
私は,今まで義務的保釈が認められたのを一度も見たことがなく,
実務ではほとんど利用されていないようですので,説明を省きました。

次回は,保釈についての雑感を書こうと思います。
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