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昨日,下記リンクのニュースに接して,熱くこみ上げてくるものがありました。
こんな思いは,本当に久しぶりです。

非嫡出子相続差別:最高裁「合憲」見直しか 大法廷に回付

現在の日本の民法では,非嫡出子(結婚していない男女間の子)の相続分は,
嫡出子の相続分の2分の1とされています(900条4号但書)。
つまり,1200万円の相続財産があり,子が2人が相続人の場合は,
通常であれば,それぞれが600万円ずつを相続するはずですが,
子2人が嫡出子1人と非嫡出子1人の場合,嫡出子800万円,非嫡出子400万円
の相続となってしまうわけです。

ちょっと考えただけでも,ひどい差別だと思いますし,かつて高裁レベルでは
憲法14条1項違反として,この条文を違憲とする決定が出ていたのですが,
平成7年7月5日の最高裁大法廷決定は,合理的理由のない差別とはいえないとして
合憲の判断を下しました。

最高裁大法廷決定(PDF)

当時,私は,大学を卒業して間もなく,司法試験の勉強を本格的に開始したころだったので,
この判例は非常に印象に残っています。
たしか,受験予備校が出す判例速報で決定全文を読んだのですが,正直怒り心頭に発する
という感じで,読み終わらない内にワナワナと震えてきてしまいました。
昨日,数年ぶりに読み返して,当時ほどでないにせよ,やっぱり腹立ちました。

上記リンク先の決定全文の5頁から6頁の下線部分が判断部分となりますが,
ものすご~く簡単に説明すると・・・

日本は,婚姻に届出を必要とする法律婚主義を採用している。
だから,法律婚によって生まれてきた嫡出子を非嫡出子より優遇しても,
全然オッケー!

という感じです・・・。

もう,全然お話になんないという感じです。理屈も何もあったものじゃありません。


色々ツッコミができる判例ですが,難しい憲法論を措いても,明らかにおかしい
ことがあります。

日本が法律婚主義を採用していることについては,賛否があるところですが,
個人的には所詮価値観の問題だと思いますし,日本では法律婚が重視されてきた伝統が
ありますので,何も問題があるとは思いません。
したがって,法律において法律婚を尊重するような規定を設けることについても反対
ではありません。

しかし,そうであったとしても,この法律あるいは判例が明らかにおかしいのは
嫡出子と非嫡出子の相続分に差別を設けたからといって,
法律婚を促進する効果など一切ない

というところです。


これが内縁の夫婦であれば,話は違ってきます。
日本の法律では,内縁の夫婦間に相続は一切認められていません。
しかし,これは当人同士が了解の上で内縁関係を続けているのですから,そのような
不利益を被ってもやむを得ません。
もし,内縁関係にある配偶者に自分の財産を相続させたいのであれば,婚姻届を
提出すればいいだけです(どちらかが別の異性と法律婚をしていて,
離婚が難しいような場合は,養子縁組するという手段もあります。)。

しかしながら,非嫡出子は,自分で非嫡出子という身分をどうすることもできません。
子が自分の両親に対して,婚姻届を提出して法律婚をせよと請求する権利など認められて
いません。

また,「結婚外で子どもを作ったら,嫡出子と相続分が違ってくるから可哀想なので,
子作りはやっぱ止めとこう。」
などと考えて性行為に及ぶ,そんなステキなカップルなどいるはずもありません。

なお,この最高裁判例には5人の裁判官の反対意見(違憲)があり,上記リンク先の
13頁から記載されていますが,こちらの方がよっぽどマトモなことが書かれています。


この決定の後,決定を引用して,数回合憲の判断が下りてきましたが,
上記リンク先の記事にあるとおり,平成22年7月に一度最高裁大法廷に
回付されたことがありました。
そのときは「ついに違憲判断がっ?!」と一部で騒ぎになりましたが,判断される前に
当事者間で和解が成立し,憲法判断には至りませんでした。


最高裁は5人の裁判官で構成される3つの小法廷からなりますが,一部の事件については,
15人の裁判官全員で構成される大法廷で事件が審理されます。
そして,以前に大法廷が合憲と判断した争点について,再び大法廷に事件が回付されるのは,
事件の係属していた小法廷が判例を変更して違憲判断を必要と考えた場合です。

したがって,今回事件が係属していた最高裁第1小法廷では違憲を相当と考える
裁判官が多数を占めていることになります。

ただし,最高裁大法廷に回付されたからといって,必ず違憲判断が出るわけではなく,
15人の裁判官の過半数(8人以上)が違憲と判断する必要があります。
そのため,今回違憲判断が出る可能性は,五分五分といったところでしょうか。


この不当な差別が一日も早く無くなるよう,祈りながら最高裁大法廷の決定を
待とうと思います。
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